活動記録 劇団アカレンガ 第9回公演『アリスの国のアリス』

劇団アカレンガ『アリスの国のアリス』無事終演しました。
ご来場頂いた皆様、キャスト、スタッフの方々本当にありがとうございました。

この作品は5年前の再演で、僕は当時、実はお客さん側として初演を観ていました。
当時思ったのは、ジャグラーが舞台の世界に入ることの難しさ、特殊技能であるが故の違和感。ジャグリングを取り入れようとする舞台人が、演劇を取り入れようとするジャグラーが、ずっと見出だせていない突破口。
再演となる今回、今年の春に声をかけて頂きました。
役者として舞台に立てるジャグラーで、ハットの出来る人、出来れば男性を探している、とのことでした。
非常にあれな話ですが、自分のことだと思いました。そうして、団長と直にお話をし、ジャグラーの出演者を募集するという経緯に至りました。
しかしながら、この舞台を作るにあたり、たくさんの苦労があったのは事実です。

ジャグラーが登場人物として役名を持つこと。これは今回演出を担当された、以倉里江子先生の提案でした。
ジャグラーに喋りが苦手な人が多いのは、その世界の人ならよく分かると思います。今回、出演することになった出田、blackさんもそうでした。また、明確に役を持ったことで、どんなジャグリングをするかより先に、根本的に演技を学ぶ必要があったのです。そこからのジャグリング。
僕は割と拘りたいことに関しては、言いたいことを言うタイプなので、劇団側へ「もっと皆がジャグリングのことを理解してほしい」と訴えることがよくありました。それが他の共演者の負担になったりすることがあったと思います。
なにせ、舞台が初めての方も多く、ジャグラー以外の方への演技指導などもあり、自分の演技にじっくり目を向けられたかと言えば、そうでないのかもしれません。ダンスは残念ながら得意な方ではなく、たくさん教えてもらうことがありました。ここのスキルをもっと高める努力、ジャグリングのミスをゼロにする努力。また、声の高低幅があるにも関わらず、割りと狭い域のみで台詞回しをしてしまう癖。今後の課題としていきたいと思います。

けれど、僕が担うべきは『アリスの国のアリス』という作品自体を、よくしていくよう進めること。
舞台役者として、演出家としての側面も持つ人間としての責任があったと思っています。
共演者のみんなが、少しずつ成長していく姿を見れたのが何よりです。
ジャグラーが参加した場合の稽古方法や、広報に関するマネジメント。
今後僕が担っていく役割として、この部分は重要になってきそうです。

さて、ジャグリングをミュージカルの舞台で行うことについて思ったことが2つ。
今回、どちらかと言えば、“ジャグリング” ではなく “大道芸” の要素を取り入れるようにしました。
客層がジャグラー以外の方が圧倒的に多く、であれば既に一般向けとして確立されている大道芸の口上やネタを使うことで、一般のお客さんが持っているイメージを崩さず、ジャグリングをすることが出来ると感じました。
もう1つ、自分が “へんてこ帽子屋” という、常にマルチハット状態の役で思ったこと。
PONTEの青木さんが前回公演の講評で書いていた「嬉しくて踊ったりすることはあっても、嬉しくてボールを投げてしまうなんてことはない」という言葉。これについて疑問を持ち始めました。
例えば一般に普及している “サッカー” の出来る役があったとして、つまらないからリフティングをしていたり、怒ったりしたからボールを蹴ったりすることは何の違和感もないはずなのです。
僕はジャグラーとして、暇があれば気分によってハットをひょいと投げたり回したりします。それが普通なのです。ハットという日常に溶け込みやすい道具の性質だからこそですが、常に道具を持っていることも、嬉しくてジャグリングをしてしまうということも、ジャグリングがもっと普及すれば、いずれ説得力を持つはずです。
結果的に、以倉先生の判断は正しく、役としてジャグリングの出来る登場人物が存在すること。
これはきっと、ジャグリングが舞台に入るための1つの手段でしょう。
そして、それを達成するだけの言葉と舞台の立ち回りを備えた人の育成。
まだまだ、第一歩を踏み出したばかり、けれどきっと大きな第一歩。

『ジャグリングと舞台を繋ぐ人』
2015年の課題はひとまず終了です。
重ねてになりますが、皆さんありがとうございました。
これから、もっと良いものが出来るよう努めます。

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